考察

ドライマウス

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ドライマウス 論文

 原因不明の難病を膠原病といいます。現代にはさまざまな膠原病が出現していますが、ドライマウス症候群は、ようやく数年前より知られるようになりました。日本では800万人を超えたと報告されています。

ドライマウス症候群は、簡単に言うと口のなかが乾燥する病気で、唾液の分泌が低下することによって起こります。

唾液は何もしていないときにも、一定量は分泌されていますが、ドライマウスになると、常に口のなかが乾いた状態になるので、話がしにくくなったり、口臭がしたり、細菌が繁殖しやすくなります。

唾液が分泌されないので、唾液の持っている殺菌作用や浄化作用が行われなくなり、その結果、扁桃腺が腫れやすくなったり、風邪をひきやすくなったり、その他の感染症にかかりやすくなります。

人は、口のなかが唾液で潤っていてはじめて話したり歌ったりすることができます。このことからも唾液の重要性が改めて認識できます。

ドライマウス症候群の原因は、まだよくわかっていませんが、タバコやアルコール、過度の冷暖房、ストレスによる交感神経の緊張、女性の更年期障害、また、薬の副作用などが考えられます。

さらに、大きな原因の一つと考えられているのが、食生活の急激な変化です。

現在、私たちは噛まない時代に生きています。柔らかい食べ物が多くなり、わざわざ嚙なくてもよくなったからです。歯科治療を受ける子供たちに好きな食べ物を聞くと、必ず上位にくるのが、ハンバーグ、カレー、スパゲッティです。つまり、奥歯で噛まなくてもいいようなものばかりです。

そして、母親は子供たちが喜ぶような食べ物を優先し、手間を省くために調理済みの冷凍食品や、お惣菜を食卓に並べます。つまり、食べにくいものが敬遠され、歯ごたえのあるものが姿を消しているのです。また、そのお母さんたちも高度成長期のなか、そのような食卓で育ってきたのです。ですから何の疑問も抱かず、加工食品を使い続けるのです。

その結果、あまり噛まないために唾液の分泌が低下し、歯周病が低年齢化し、歯並びが悪くなり、しいてはドライマウス症候群になるものと考えられます。

このような場合はなす術がなく、対症療法として口のなかを清潔に保つようにして、必要であればガムを噛んだり、人工唾液や薬用デンタルリンスのような湿潤効果が高い液体ハミガキの使用をお勧めします。

 

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